アフィリエイト側ではなくECサイト(広告主)側の話。
私の本業のひとつは、企業からの受託でアフィリエイト運用支援を行うというもの。「運用代行」ではなくあくまで「支援」。主体的なアフィリエイト運用を放棄し外部丸投げにするような企業では、所詮大した成果はあげられないからだ。実際代行しようにも、提携サイトとの緊密かつ長期的な関係構築という重要なミッションが果たしにくい。

相談として結構あるのは、毎年2桁パーセントの伸び率だったアフィリエイト経由の売上が、どうも天井に差し掛かってきているらしい現状に関するもの。伸び率の鈍化だ。
「売上全体の中で占める割合はどうなんですか?」
「それは変化ないです」
「じゃ、アフィリエイトの問題じゃないでしょ」
と、実は三行の会話で終わることも多いが、それだけだとあまりに冷たいと評判を悪くするので、もうちょっと親身になって聞いてみたりもする。
伸び率鈍化の対象は「アフィリエイト経由の売上金額合計」。大抵、月次での数字を使っているので「月間売上」だ。シーズンによる需要変動が大きな物販等の業種では、前年比で見ている。
まずは管理画面のレポート等を見ながらブレイクダウン。
現在の数字はもちろん、ここ数年の変遷も。
<提携サイト数>
- 提携アフィリエイト数
- アクティブなアフィリエイト数
- その中で高い成果をあげているアフィリエイト数・個別銘柄
- 毎月新規で提携するアフィリエイト数(純増数)
- アクティブなアフィリエイトのうち法人・個人サイトの比率
<トラフィック>
- インプレッション・クリック数/率
- コンバージョン数/率
- 1コンバージョンあたりの売上金額
<売上商品>
- 売上商品の種類・価格帯の偏り度合い
- 季節ごとの変動
<顧客転換・定着率>
- リード系成果(資料請求等)の場合、顧客転換率
- 物販の場合アフィリエイト経由で初回購入した顧客のリピート購入率
(ここは数字をとれる仕組みにしていない企業も多い)
などなど・・・。
不正が発生しやすいプログラムの場合には、不正却下率であったり、現状承認されている成果の中に不正が疑われるものがないかどうかなども。
次に企業が提供しているプログラムの内容自体や運用部分。
- バナーや商品画像、テキストなどのリンク素材
- 商品データ提供の有無(物販の場合)
- メールニュースの内容
- 提携・成果承認のスピード、承認状況
- 報酬率(同業種他社との比較、特別報酬オファー状況なども)
- 上位サイトとの関係・コミュニケーション
- ASP担当者との連携・定期的な情報交換
順番に見ていくと、「売上の伸び率の鈍化」にはねていそうな要素は当然見えてくる。
多いのは、これまで「アフィリエイト経由での売上増」が、単純に「提携サイト数の伸び」特に新規の法人ポイント還元サイトとの提携純増に多分に頼っていたというもの。
一般に、日本におけるアフィリエイト元年と言われるのは2004年頃。A8.netやValueCommerceなどASPが立ち上がったのが2000年、「ブログブーム」で個人サイト数が一気に跳ね上がったのが2004年以降だ。
その後数年は、アフィリエイト導入企業数も急増したが、アフィリエイトサイト数も個人・法人ともに増え続けていった。
クレジットカード系中心に、自社顧客囲込みの一環としてアフィリエイトの仕組みを活用した「ポイント付与」に注力する企業も増え、そうしたポイント還元サイトや本人成果など、「アフィリエイト利用で実質割引になる」というネットお得活用術に関する知識啓蒙も進んだため、ともすれば、アフィリエイト経由外の売上をアフィリエイト経由の売上が食うという状況すら生まれた。
正直、「アフィリエイト導入しただけで他に何もせずこんな売上をだしてきたのか!?」と驚くケースがあるほど、無策でもアフィリエイトで成果を年々伸ばせる甘い状況があったように思う。
ただここ数年は状況が変わってきているようだ。
ASPの対企業向けセミナーに参加しても、いち企業あたりの伸び率の鈍化という話は結構耳にする(ASPとしては、まだ結構勢いあるみたいだけど)。
提携数以外では、インプレッション・クリック数という、成果の前提となるトラフィックが横ばいに近づいているというところも多い。1サイトあたりからの流入が減っていると。
それについては、アフィリエイトサイト側としての自分から見れば違和感ない話だ。5年前の自分は、せいぜい2~30社としか提携していなかったかもしれない。そして取りあえず、よくわからないので、いろいろな企業のバナーなどをサイトに張り付けていただろう。
今はその10倍以上は提携している。そして新しく作ったサイトや記事で商品やサービスを紹介をしているのは、過去しっかり実績があがってきたところ、もしくはまだ未知数だけど成果をあげられる可能性のある企業に絞り込んでいる。
私自身のサイト群のページビューは純増し続けているが、いち企業への送客数は一部を除き、間違いなく落ちてきている。
クリック率・コンバージョン率が落ちている理由としては、勝手な推測だが、ここ数年のアフィリエイトにおけるAPI活用の進展も多少かかわりがありそうだ。「多数の企業の関連商品を、手間かけずに一気に一覧化して表示させる」ことが実に簡単になった。提携してもらい商品紹介してもらっても、それは30個並んだ類似商品の中のひとつでしかないかもしれない。
・・・と、つい長々と書いてしまうのは自分の悪い癖だが、理由はいろいろあれど、その「天井に達したのか?」な状況を打破するための施策はどんなものがあるのか。
実はそれほどやれることは多くはない。
ざっくりしたくくりでまとめると、こんな分類ができる。
●リクルーティング
新規に有力なアフィリエイト候補と提携をする。
新規提携先が増えるかどうかはASPの頑張り次第と思いこんでいる企業が多い。これまではそれでよかったかもしれないが、これからは自らリクルーティング活動してゆくことが重要。
関連ジャンルで集客力・影響力の高いサイト、実際に自社商品を使い愛用してくれている顧客が書いているブログ、関連キーワードで検索上位にくるため、その商品を探している潜在顧客が一度は目にしそうな記事などなど。今ならTwitter始めとするソーシャル系サービスも当然ウォッチ対象となる。
アフィリエイトサイトのリクルーティングについては、また別途記事を書こうと思うが、やみくもに探してゆくのではなく、軸を定め、計画的かつ効率的にリストアップ&アプローチをしてことが肝心。
●VIPサイトとの連携強化
自社の売上の数パーセントを担ってくれている提携先とは、月に一度の一斉メールだけの付き合いだけで済ませてしまってはいけない。よく2:8(ニッパチ)の法則などというが、アフィリエイトでは1割の提携サイトが9割もしくはそれ以上を稼ぎだしている。
なのにそのわずか数十サイトが、どのページでどのように自社商材を紹介し、ユーザを誘導しているのか、実際に見て確認したことすらない企業担当者が多い。まずは関係強化をするサイトを法人・個人それぞれで定め、内容をよくチェックし、個別にアプローチし、必要とされている情報やデータを提供する。法人媒体であれば、年間の特集やキャンペーン計画をヒアリングし、競合他社に先駆けて、そこへの掲載交渉を始める。時には企画提案をしてみてもいいだろう。法人ポイント還元サイトに掲載してもらっている場合は、掲載バナーや説明文を変更してもらうだけで売上が変わることもあるはずだ。
●中堅層の活性化/ノウハウを積極提供
いわゆる「育成」だ。
アフィリエイト側から見ても、企業が提携サイトに送るメールニュースの内容は、完全に二極化されてきた。提携サイトと緊密に個別交流しニーズを十分理解してきた担当者もしくはチームがいる企業では、アフィリエイトが売上を伸ばしたりもしくは新しいコンテンツを作ったりするためのヒント・ノウハウ・アイディア・データがしっかり盛り込まれたメールを配信してくる。
毎回は見なくても、たまにちらっと見て有益な内容が含まれていれば、参考になるだけでなく「この企業はアフィリエイトに積極的だしよく理解しているな」という印象を抱く。
対極にある企業のメールニュースは昔と同じだ。一般顧客に対して配信しているキャンペーン情報や新着商品の情報を、言い方を変えて配信するだけ。もしくは毎回「新規バナー追加のお知らせ」を流す単なる「事務連絡」。
メールニュースの内容についても、また別途書いていきたいが、多くの企業では、アフィリエイトに対して配信するメールニュースの内容を見直す余地が多分にあると思っている。
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他にも底上げ・再活性化の施策はいろいろあるが、長くなってしまったのではしょることにする。ひとつだけ追加しておくと、安易に「ASP乗換・追加」の道に走らないことだ。ASPを増やせば確かに提携サイト数は一時的に増え、売上も増えるだろう。でもその前にやれることたくさんある。
まず現状のASPで何をしたらアフィリエイト経由での売上を伸ばせるのかをしっかり考え、試行錯誤を一巡してみて、その上で確立したノウハウを引き下げて、別のASPでのプログラムを立ち上げるべき。
ASP乗換は、過去提携してきたアフィリエイトサイトに過大な負担を与える行為で失うものも結構ある。よほどの理由がなければ避けたいところ。
ということでイキナリ長くなってしまった上まとまりがないが、
今後またアフィリエイト運用について、ちょこちょこと書いていきたい。